陽炎が揺れる縁側 冷え切った麦茶の結露
青空の裏側で 静かに軋む二進数の星系
鍵付きの部屋をノックする 冷徹な警告音が
蝉時雨の隙間に しずかに零れ落ちていく
解けないパズルなんて この空にはないから
震える指先で 最後の暗号を叩き込め
膨大な容量が弾け飛ぶ 蒼穹の果て
僕らは泥だらけの手を伸ばし
世界の息の根を もう一度繋ぎ止めてみせる
鳴り止まない黒電話、畳に差す濃い影法師
無数の分身が飲み込まれていく電脳の渦
背負った家紋の重みもまだ知らぬまま
僕らはただ 液晶の向こうに広がる嵐を見つめていた
腹が減っては戦はできぬと響く声が 冷え切った論理を焼き払う
花札の月を見上げて 少女が呟いたキーワード
託された世界中の分身が 淡い光の粒になって
傷だらけの背中を 強く、優しく押し上げる
大気圏を焦がして落ちる 破滅のカウントダウン
それでも恐れない 円卓を囲む血の熱さがあるから
幾千億の祈りを束ねて 暗闇の回路を撃ち抜け
数式が光へと還る場所で
僕らの眩しい夏が 鮮やかに息を吹き返す
白く染まった画面の前で 静けさを取り戻す大広間
誰かが差し出した 懐かしい匂いと笑い声
放たれた祈りの残響を胸に抱いて
青嵐の彼方へ 誇らしげに入道雲が湧き上がる