終電ぎりぎりのホーム
自販機の灯り ふたり照らす
「寒いね」って言いかけて
飲み込んだ息だけが白くなる
改札を抜けたあとも
あなたの足音 まだ聴こえる気がして
コンビニのガラス越しに
自分の顔 少しだけ笑ってた
言えないことばばかり
ポケットの中で絡まってる
名前を呼ぶたび 胸が
少しだけ走り出す
静かな声で 好きになる
誰にも聞こえない音量で
あなたの横顔 やさしく滲んでく
ああ この夜がほどける前に
たった一度でいいから
「帰りたくない」って 言えたなら (言えたなら)
信号が青に変わっても
並んだ影は 動かないまま
「またね」のタイミングさえ
ドラマみたいに うまくはいかないね
コンビニ袋の音が
なぜかやけに うるさく響いて
黙ったまま歩く距離が
惜しくて 靴紐を結び直す
あたりまえの会話で
本当の気持ち 上書きしてる
笑い声のすき間から
こぼれたため息
静かな声で 好きになる
心の奥でだけ叫んでる
あなたの歩幅に 合わせて歩きながら
ああ 「友だち」で終わる予感を
聞こえないふりしながら
となりを守ってる このままで (このままで)
終わりのないような
長い季節の途中で
ふと手が触れたとき
時間が止まった気がした
言えない「好き」は
たぶん言えた「さよなら」より
ずっと大きいから
しまったまま 抱きしめてる
静かな声で 好きになる
路地裏の月みたいな気持ち
誰も見上げない ところでまた光る
ああ いつか今日を思い出して
胸が少しあたたかくて
少しだけ 痛いように願う
静かな声で 好きになる
あなたは知らないままだけど
歩き疲れた夜 ひとりで思い出す
ああ 見上げた空の片すみに
置き忘れた言葉たちが
まだ小さく揺れてる やさしく (やさしく)