静かな部屋で 優しい夜が降る
溶けた足音 昨日の夢を呼ぶ
窓の隅で ほこりが光になる
私は 声をひそめ 君を想う
くちびるの中で まだぬくい名前
こぼれたため息 指先でほどく
電気を消せば 箱のような世界
心は 落ち着いて 記憶に帰る
あの日の雲 おそろいの影
かばんの隅の 小さな旅の切符
笑いあったまま 時は止まっていた
二人の歌が 胸でまた鳴る
眠れない夜の 薄い布団で
耳をあてれば 遠い針の時計
数えきれない 優しい日々が
私の中で そっと生きている
想うほどに 声はかすれて
言いたかったこと まだあたたかい
さよならなんて 言えなかったまま
手のひらの中 光だけ残る
君は 今でも どこかで笑うの
それとも夜に 同じ空を見るの
もしも答えが 返ってこなくても
この静けさで 心はほどける
優しい夢よ ほどけないで
帰らない日は 色を変えながら
そっとまぶたに 降り積もっていく
私は 優しく おやすみを言う