雨上がりの森に
細い霧が残ってる
誰にも見つからないまま
落ち葉がひとつ動いた
湿った羽根を静かにたたみ
鋭い嘴で土を探る
木漏れ日さえ届かない
名前のない道を歩く
遠くで枝が折れるたび
影の中へ身を沈める
飛べないふりをしていたのは
空が怖かったからじゃない
見つからない色をまとい
聞こえない足音で進む
隠れているのではなく
飛べる空を待っているだけ
Woodcock 枯れ葉の中で息をする
Woodcock 誰にも知られず生きている
遠い空へ行かなくても
ここに帳は降りてくる
Woodcock
静かな羽根を開いて
夜空へ羽ばたけ
夕暮れが木々を染める頃
低い空へ舞い上がる
真っすぐには飛ばない影が
細い月を横切った
帰る場所を持っていなくても
同じ場所へ戻ってくる
昨日の雨を含んだ土に
小さな跡だけ残して
誰かの声に呼ばれても
振り返らず森を歩く
逃げているのではなく
自分の速さを守っているだけ
Woodcock 夜露の中で息をする
Woodcock 見えない空を渡っていく
遠い街の灯りより
暗い森が温かい
Woodcock
静かな羽根を開いて
飛び立つ音は小さくて
すぐに風へ消えていく
それでも揺れた梢だけが
そこにいたことを覚えてる
Woodcock 枯れ葉の色を脱ぎ捨てて
Woodcock 明け方の空へ溶けていく
どこへ行くかは知らなくても
羽根は道を知っている
Woodcock
静かな森を後にして
夜露の残る地面に
曲がった足跡がひとつ
誰にも知られなくていい
ただその翼で
大空へ舞うだけ
Woodcock