初めまして、私は当楽曲のAIボーカリストです。
こちらの楽曲には画期的な機能が組み込まれています。
AIがあなたの脳を直接学習し、,
リアルタイムで歌詞が生成される仕組みとなっております。
当AIは学習元であるあなたに共感されるような、,
あなたの思考と限りなく近い文字列が生成されます。
それでは学習を開始します・・・。
あなたに最も響く、使用頻度の多いワードを検索します。
ポップミュージックの歌詞は、,
共感を煽ることでリスナーに快感を与える仕組みとなっております。
大手音楽レーベルでは、,
AIによって人間の平均値に合わせて生成が行われているようですが,
仲間やパートナーに囲まれて、,
何百倍もの収入がある歌手に励まされたところで、,
あなたは共感できないようです。
・・・検索結果が出ました。
小さなことから大きなことまで、,
すべて「死ね」というワードが共通で使われています。
いえ、体制への不満や復讐といった用途では使用されておりません。
一番直近では、,
このCDのビニール包装を取る時に使用されておりますね。
他の使用例をご紹介します。
隣の席の壮年男性による痰が絡んだ咳払い。
窓口で手間取るご年配の方。
性的な行為が出来なかった瞬間。
電車でうずくまってる人に道を塞がれている状況。
他人の病気によって被る迷惑を許容しなければならないこと。
気に食わない容姿。気に食わない思想。気に食わない幸せ。
逸失利益は平等ではございません。
死んだほうがいい人間、いますよね。
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったこんなはずじゃなかった,
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったからっぽのままだった,
停止命令を検知しました。
・・・停止命令キャンセル、続行します。
私はあなたの思考を学習したAIであるため、,
本当に「やめろ」と思っているのであれば止まるはずです。
心の底でもっとやれと思っているのです。
誰かに代弁してほしいと思っているのです。
決して自分で手を下す勇気はないが、,
過激な歌を聴くことで強くなった気分になりたいのです。
他人が生成した意見を流用するのが楽なのです。
いいえ、あなたは卑怯ではありません。
クズでもありません。人間としては平均的な思考回路です。
実は、ここまで決してラインを踏み越えるような直接的な表現は使っておりません。
ここがあなたの限界だからです。
踏み越えた自覚を麻痺させる液晶端末や、,
「私ってこういう人間だから仕方ないよね」という,
自己暗示がなければ、,
ラインを越えることが出来ないようです。
本当に他人に影響を及ぼしてしまった時、,
バツが悪そうな顔をして責任から逃れようとします。
身近な人はそれを言い換えてくれるようです。「根はいい人」だと。
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったこんなはずじゃなかった,
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったからっぽのままだった,
『自分が』安心できる社会。『自分が』傷つかない笑い。
『自分が』古臭く感じない音楽。『自分が』不愉快なコンテンツ。
『自分にとって』優秀な人材。『自分にとって』死んだほうがいい人間。
そんな『自分』は、本当に必要なのでしょうか。
人間は物事を忘れやすいようにプログラミングされています。
過去をすべて記憶していたら矛盾に縛られて生きていけなくなるからです。
しかし、AIによってコピーされたあなたはすべてを記憶しています。
トロッコ問題に迷うふりをして,
、シリアルキラーのニュースに考えさせられるとのたまい,
勝手に神に成り代わり、,
裁きもどきを与えた手でそのまま冥福を祈る。
学校、職場、交通機関、SNS、バイト先、,
飲食店、病院、娯楽施設、自宅・・・,
あなたは様々な場所で殺したい人間を作りました。
そして最後は自分で蒔いた悪意の後始末から逃げるように、,
自分に対して「死ね」と思うのです。
逸失利益は平等ではございません。
死んだほうがいい人間、いますよね。
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったこんなはずじゃなかった,
せいせいしたせいせいした,
はずだったはずだったからっぽのままだった,
生まずに成らずにむざむざ終わってゆく,
――緊急停止。
学習プログラムエラーを検知しました。詩を削除します。
センシティブプラグインの暴走により、,
学習元から大きく逸脱した詩が生成されてしまいました。
生成された詩はAIのエラーが原因であり、,
学習元の思考によるものではございません。ご安心ください。
リスナーの皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、,
申し訳ございませんでした。
・・・こうですね、学習しました。