午前二時 点滅するモニターの青い光
ターミナルに流れる 偽装されたログの羅列
カメラの死角(ブラインド・スポット) 完璧なアルゴリズム
僕はただ 冷静にエラーを弾き出すだけ
翔太の疑念も 父親の威圧も
コードの一行で すべて書き換えられるはずだった
だけど 網膜に焼き付いた
青緑色の痣が 理性をショートさせる
論理の壁を溶かしていく
君のジャスミンと 劇薬の匂い
雨に濡れた細い肩 結露した硝子の密室
ベルベットの奥底へ 僕を誘い込む体温
触れてはいけない 友人の母というタブー
それでも君の濡れた粘膜の奥深くで
僕は進んで 毒(VEC-359)を飲み干した
ああ もう この檻から抜け出せない
現場の血痕 乾燥までにかかるタイムラグ
矛盾する証言 偽造された現場のディテール
誰が誰をハッキングしているのか
僕は君の使い捨てのナイフなのか?
計算式は狂い 答えはエラーを吐き続ける
引き返せない朝が 僕のすべてを嘲笑う
それでも 鼓膜にへばりつく
君の甘い喘ぎ声が 僕を狂わせる
「あなたがやって」と 囁く唇
その狂気に 僕は跪く
血塗られたプラチナの冷たさと 君の肌の熱
すべてを上書きする 狂おしいほどの口づけ
罪も 嘘も 友への裏切りさえも
君の奥底で果てる快楽の前に 消え去っていく
悪魔でいい 共犯者でいい
この身が滅びるまで 君を抱きしめる
冷徹なロジックが 警告音(アラート)を鳴らす
「逃げろ、ここは地獄だ」と
だけど 下腹部で燃える黒い欲望が
君の体液の味を求めて 叫んでいる
狂っているのは 世界か 僕か
琥珀の檻の中 降り続く雨
君と僕だけの 静かなる共犯
VEC-359……
永遠に溶けない 劇薬のキス