机の上
開いたままのノート
書きかけの
君へのセリフ
雨粒が
窓を指でなぞってく
にじんだ街
滲んだままの約束
言えなかった
さよならより苦い一言
喉の奥
棘みたいに刺さってる
進めないフィルム
同じ場面ばかり
指で早送り
心は止まったまま
フィルムの端で君を呼ぶ
ピントの合わない未来図
ほどけたままの二人のシーン
巻き戻しても戻れない
それでもまだ君を呼ぶよ
聞こえない場所にいても
名前をただ繰り返して
胸の暗闇を照らしてくれ
駅のホーム
最終電車のアナウンス
飲み込んだ
あの日の弱さと嘘
君の癖
くだらない喧嘩の理由も
全部まだ
手放せないまま抱いてる
新しい服
鏡の前で着替えても
似合わない
君のいないこの部屋に
時間だけ早く
追い越してく背中
置き去りの心
ポケットでまだ震える
フィルムの端で君を呼ぶ
色あせていく日常
隙間だらけのこの世界に
君の輪郭を探してる
忘れたいと願うたびに
浮かび上がる横顔が
瞼の裏 消えてくれない
明日を閉じこめてしまうよ
もしあの日
あと一歩踏み出せたなら
今も隣で
笑ってくれたかな
答えのない
問いかけばかり増えてく
それでも君を
失くしたくなくて
フィルムの端で君を呼ぶ
破れそうなこの心で
どんな結末が待っていても
君を撮り直したくなる
新しい光の中へと
震えた足で踏み出すよ
涙ごと抱きしめたまま
もう一度だけ君を呼ぶ
フィルムの端で君を呼ぶ
聞こえないなら構わない
名前をただ繰り返して
自分をやっと許せるまで
机の上
閉じたままのノート
書けなかった
君へのセリフが揺れる