駅まで続く
ひび割れた歩道
ポケットの中
まだ君の切符
言えずにいた
さよならの理由
喉のあたりで
錆びたまま揺れる
同じ景色が
少し遠く見えた
並んだ影が
ひとつ分 足りない
君のいない春に
花は咲いても 色が足りない
笑い合った午後の続きが
白い息になって消えていく
また会える?って聞けず
うなずくふりで 目をそらした
あの日の僕を
今も責めてるまま
カップの底に
冷めきった紅茶
席を一つ
空けたまま座る
誰かの声が
急に君みたいで
ふいに振り向く
自分に苦笑い
わかっていたよ
握る手は少し
前よりももう
細く震えてた
君のいない春に
風が運ぶのは置き去りの歌
二人きりの部屋の静けさ
冗談まじりの泣き顔が浮かぶ
戻れたならきっと
強がる前に 泣いてみせた
崩れる僕を
君は抱きしめたかな
言えなかった「行かないで」
喉の奥 刺さったまま
君が残したマグカップ
洗えずに まだ 棚の上
君のいない春に
やっと気づいた 守りたかった
当たり前に重ねた日々が
世界を丸ごと照らしてたこと
今 遅いけどきっと
どこか遠くで 笑っていて
新しい春の
光に包まれながら
君のいない春に
僕は少しずつ歩き出せる
置き忘れた「またね」の先を
ひとりでもちゃんと 繋いでいく