ジャズの演奏家にとって理想的な音楽とは主観をぶつけ合いながらもそこに調和が生み出されている状態であり、このアルバムはそれが鮮明に実現されている。風が吹けば木々が揺れさわさわと音を立てる。雨が降れば静かだった川が急流に変わる。このように自然界はコールアンドレスポンスに満ちている。このトリオの演奏スタイルも呼応に富み正に自然と共にある。コントラバスがカンバスとなりサックスとピアノが自由に会話し視覚的ともいえる音世界を構築している。ホールでの一発録音、修正無し。という条件がこのような躍動感のある音楽を実現させたのだと推察される。イマジネーションを求めて聴けば森羅万象が眼前に現れ、実に楽しい時間が過ごせる。この三人の男達は面白い。ギタリスト辻 邦博